第4章 推敲をしよう



 OWL第4章のテーマは、「推敲をしよう」です。第3章を終えたということは、ほぼレポート・論文が完成に近づいています。しかし、書き上げたらそれで終わりとするのではなく、もう一度自分が書いた原稿を見なおしてみましょう。これが推敲という作業です。

 推敲は、自分の書いた原稿に誤字や脱字がないか、つじつまのあわない文章になっていないかをする作業です。留学生のみなさんの場合、日本語の論文・レポートに使われる語句や文型を確認したり、文法の間違いを見なおしたりする作業も必要になってきます。

 OWL第4章では、留学生さんにとって必要な推敲のポイントを、4つ説明します。

 では、語句・文型のチェックから始めましょう。

(1) 語句・文型をチェックする
(2) 間違えやすい文法をチェックする
(3) わかりにくい文をチェックする
(4) 全体の構成をチェックする
(5) まとめ


(1) 語句・文型をチェックする

 レポートや論文でよく使われる語句や文型をチェックしていきましょう。

◎ 文と文をつなぐときによく使う語句

1.前の文章と次の文章で逆のことを言うとき

 しかし
文化学習理論に基づくこれまでの調査研究は、ソーシャル・スキル獲得が滞在国での対人関係形成を促進するという点を主張し、実証的にも成果を示してきた。しかし、検討すべき課題がいくつか存在する。
 しかしながら
従って、文化受容に関する項目の3因子のうち、「親密な交流」因子に関しては、先行研究で主張されている「ソーシャル・スキル先行、対人関係形成」傾向が支持された。しかしながら、文化受容に関する項目のうち他の2因子に関しては、日本人の友人に対する「満足」と有意な説明関係が見られなかった。
 −にもかかわらず
文部科学省が「ゆとり教育」を目標として掲げているにもかかわらず、学校現場では結果として子どもからも教師からも「ゆとり」を奪っているという指摘がなされている。
 −ものの
あいさつをすることに関してはやや肯定的な回答が多かったものの、雑談、電話、訪問などその他の活動に関しては否定的な回答であった。


2.同じような内容や事柄をいくつか並べて述べるとき

 また
調査の目的は、在日留学生の行動面における文化受容と日本人との対人関係の質的側面がどのような関係にあるか、また、行動面での文化受容がどのような要因によって促進されるかという、2点を明らかにすることであった。
 加えて
本稿の目的は、相互作用の中でいかに「日本人」と「外国人」枠付けが行われていくかを明らかにすることである。加えて、その枠付けが「マジョリティ」としての位置を確保することにつながっていく様子を分析する。
 まず、次に
本研究の目的を達成するために、まず回答者の特徴を明らかにし、次に文化受容と対人コミュニケーションにおける満足度との関わりを詳しく分析していく。
 さらに
敬語によって表されるような地位関係や役割を家庭内、地域内に持たない子どもたちは、敬語に触れる機会が限られ、地位関係や役割に対する認知の発展が限られる。さらに仲間同士でのみ使用する、いわゆる「タメ口」を身につける機会しかもたないと考えられる。
 そして
現代日本社会においては、複雑な敬語を獲得する機会を得ている子ども、「です・ます」体の単純な敬語を獲得する機会は得ている子ども、そして敬語を獲得する機会をまったく得ていない子どもという、3つのタイプが存在する。
 第一に、第二に、第三に/初めに、二つ目に、三つ目に/一点目に、二点目に、三点目に
今後さらに在日留学生の文化受容と日本人との対人関係を調査し解明していくために、次の点が課題となる。第一に、日本人とのコミュニケーションを促進する要因を明らかにする必要がある。第二に、日本人の友人以外の対人関係について調査する必要があると考える。第三に、質的で縦断的な調査によって文化受容と対人関係の形成、維持との関係を調査することが必要である。


3.前の内容から話題をさらに発展させるとき

 では
宮島らが行った日本の大学生を対象とした文化的再生産論に関する数量的調査の結果を見ても、明らかに差異があると決定付けることができる結果にはなっていない。では、現代日本社会には階層差が存在しないのかという問いが生じる。
 次に
以上、これまで特に日本においてほとんど検討されないまま用いられてきた文化学習理論を検討し、「パワー」と「文化」の観点から、文化学習理論が内包している問題点を明らかにした。次に、文化学習理論が抱える問題点を克服し、在日留学生支援を行っていくための方法を検討する。
 それでは


 そこで




4.前の文章に説明を付け加えるとき

 なお
分析は、「儀礼」因子、「親密な交流」因子、「集団」因子ごとに行った。なお、各分析において、独立変数同士の相関関係は、ほとんどないか低い相関であることを確認している。
 ただし
「入国を制限し、問題の発生を防ぐ」と「警察の活動に期待する」とを1位と2位(順不同)に選択していた回答を「治安重視の態度」として抽出した。また「日本人と外国人が住民として一緒に活動できるような環境作りをする」を1位か2位で選択していた回答を「協働の態度」として抽出した。ただし「住民として一緒に」と「入国制限」または「警察に期待」を組み合わせて選択していた回答は、「その他の選択」としてカテゴリー化を行った。


5.前の文章を言い換えて説明するとき

 つまり
留学生は外国の生活と文化と言葉に慣れなければならないため、かなりの負担を抱えることになる。つまり、日本で留学生をするということは、自分の研究活動を行うことと平行して、日本で異文化適応を経験するということなのである。
 すなわち
チューターと留学生のコミュニケーションは、抱えている文化的背景が互いに異なる者同士が行うコミュニケーション、すなわち異文化間コミュニケーションである。
 言いかえると




6.前で述べたことを受けて、これまでの内容をまとめるとき

 したがって
友人や異性との日本的な交流の仕方や、どのように親しさや自分自身のことを相手に表現するかなどの文化的スキルを獲得し、実行している場合、日本人の友人と満足度の高い関係を築けるのであろう。したがって、文化受容に関する項目の3因子のうち、「親密な交流」因子に関しては、先行研究で主張されている「ソーシャル・スキル先行、対人関係形成」傾向が支持された。
 よって
異文化間コミュニケーションの分野で扱われる文化とは、まず間違いなく「文化相対主義」としての文化である。よって、文化に不平等や序列はなく、文化相対主義を実現するようなコミュニケーション、人間関係形成の方法が探究される。
 以上のことから
調査の結果、連絡をとっている母国の人との対人コミュニケーション満足度が最も高く、また日本で得ている同国の友人数よりも連絡をとっている母国の人の数の方が多い傾向があることがわかった。以上のことから、在日留学生にとって連絡をとっている母国の人はソーシャル・サポートの一角を担っていると考えることができよう。


7.動作の対象

 −について
今後さらに在日留学生の文化受容と日本人との対人関係を調査し解明していくために、日本人の友人以外の対人関係について調査する必要があろう。先行研究では、指導教官からのサポートに対する期待と実際のサポートとの差が、中国人留学生の適応に影響を与えたという結果が示されている。
 −に関して/に関する
異文化適応に関する日本の研究は、大学または大学院に所属する留学生を対象に主に行われてきた。
 −に対して
今回の調査は、1ヶ月以上日本に滞在する留学生に対して質問紙を用いて行った。


8.ものごとが行われる手段や方法、その間で役目を果たす人やものを言いたいとき

 −によって
文化学習理論(Culture Learning)は、異文化環境下において、滞在者が滞在文化の文化的スキルを学習することによって、滞在国の人々との良好な対人関係を形成、維持することができるとする理論である。
 −による
世代による態度の違いがあることを含め、同じ団地内に多様な住民が暮らしている有り様を本アンケート調査が浮き上がらせた。
 −を通じて
もし直接会う時間的余裕がない場合には、ワープロ文書をメールボックスを通じて受け渡したり、ファックスやE-mail利用等で効率的にチェックすることができる。
 −を通して
日本の社会において敬語を身につけるということは、敬語を通して表現される人間関係の上下、親疎関係を、自分と他者との地位関係、役割として認知し、自分自身がその地位関係、役割の一部を担うことになる。


9.判断の立場

 −にとって
非英語圏の留学生にとって、英語から日本語、日本語から英語の翻訳作業は、難しい作業のひとつである。
 −において
留学生が大学だけでなく日常生活においても、様々な情報から取り残されやすいということも留意することが必要である。
 −の(という)点から考えると
この地域において日本人住民同士の交流がそもそも希薄であるという点から考えると、外国人住民との交流はさらに「面倒」、「おっくう」などの理由から忌避されると言えよう。


10.基準

 −に基づき
よって次に、因子分析の結果に基づき重回帰分析を行い、文化受容の各因子とICS尺度の「満足」因子がどのような関係にあるか、また3つに分類された文化受容がどのような要因によって促進されるかを明らかにする。
 −に基づいて
この基本的役割に基づいて、以下の5つの具体的役割が考えられよう。
 −を基に
本稿は在日留学生の行動面での文化受容と滞在国の人々との対人関係に関して、実証的調査を基に検討を行った。


11.無関係・無視・例外

 −にかかわらず


 −によらず


 −に関係なく




◎ レポート・論文で特に使われる文型・表現を整理する。

1.引用や要約のときによく使う文型・表現

 論じている。
児島(2002)は、ニューカマー生徒を受け入れている教師の戦略について、差異の一元化という観点から論じている。
 −と主張している。
田中はこの結果から、ソーシャル・スキルの獲得は対人関係の形成を通じて異文化適応を促進することができると主張している。
 −と述べている。
宮島・藤田・志水(1992)は、日本においても階層的差異が厳然としてあると述べている。
 −と指摘している。
村田(1998)は、1980年代から増えてきたチューターに関する全国のさまざまな調査をレビューしているが、それらの調査から種々の問題点が浮かび上がると指摘している。
 −と反論している。


 −としている。


 −と結論付けている。


 −とまとめている。




2.言葉や事象を定義するときによく使う表現

 −とは、−(ということ)である。
文化学習理論での文化的スキルとは日本人と対人関係を形成するために必要な日本の文化的行動様式である。
 −を−と定義する。
バーンステインは定式言語「役割や地位に対する感知能力をはたらかす余地のある」言語と定義している。
 −とは−であると定義される。
一般的にソーシャル・サポートとは、社会的な人間関係の中で行われる相互作用が、人々に対して支援となるような性質をもつと認められるものと定義される(宗像,1989)。
 −は−を指す。
1つ表層文化と言い、目で見ることができ、手で触れることができる文化を指す。
この身体化された様態、ハビトゥスとも言われ、個人がほとんど気づくことなく行う日常の態度や行動実践を指す。
 −は−と言われている。




3.例をあげるときによく使う表現

 例えば−が(−として)挙げられる。
例えば芸能、美術、建築、衣服など表層文化として挙げられる。
 −の例としては、−がある。
文化資本には3つの様態があり、そのうちの一つである「制度化された様態」の例としては、学歴がある。
 例えば−が当てはまる。
もう1つは深層文化と呼ばれ、例えば価値観やものの見方、行動、規範などが当てはまる。


4.自分の考えや意見を述べるときによく使う文型・表現

 −と考える。
今後の在日留学生支援のあり方は、存在する日本人と留学生の間の「パワー」の問題を常に考慮しつつ、日本人と留学生がともに文化学習を行う「異文化間学習」を目指すべきだと考える。
 −と思われる。
このストレス、いわゆる「内的な雑音」に自分では気づかないかもしれないが、異なる文化の人とのコミュニケーションを障害になると思われる。
 −と考えられる。
教員研修留学生には学内のE-mailアドレスが配布されないが、近年、E-mailが発達し、無料でE-mailアドレスを入手できるので、E-mailを持っている留学生が多いと考えられる。
 −と言えよう。
日本における敬語はバーンステインの言語コードと合致し、またブルデューの身体化された様態の文化資本であると言えよう。
 −必要があるだろう。/−が必要であろう。
文化学習理論が抱える「パワー」に関する問題点を克服するためには、滞在国の人々との対人関係の中で、滞在者がどのような文化をどのように学習していくのかという点に焦点を当てる必要があるだろう。
 −とすることができる。


 −のように考えられる。


 −のように言える。




5.データを比較・対照するときによく使う文型・表現

 A と比較すると、B は−の傾向がある。


 A と B を比べると、−という違いがある。


 −を見ると、A と B の違いは明らかである。


 A と B を見ると、−という共通点がある。


 A と B は−という点において共通である。


 A に対して B は−である。


 A は−である一方で、B は−である。


 A は−である。それに対して B は−である。




6.(進行・相関関係)データの関係を言うときによく使う表現

 つつある。


 −ほど−である。


 −につれて−となっている。


 −にしたがって−となった。


 −に伴い−傾向にある。




7.データの量や増減を言うときによく使う表現

 −は−を上回っている。


 −は−を超えた。


 −は−に達した。


 −は−を占める。


 −は−を下回っている。


 −は−を切っている。


 −は−まで満たなかった。


 −は−を割っている。


 −が増加している。


 −は減少している。


 −が拡大してきた。


 −は縮小の傾向にある。




8.データの因果関係を述べるときによく使う表現

 −のために−となった。


 −という結果は−による(ものが大きい)。


 −は−という原因による。


 −の原因としては−が考えられる。


 −は−が原因であると思われる。




9.データの分析結果を記述したり考察したりするときによく使う表現

 −を分析したところ、−であることがわかった。
地域の発展のために必要な施設等の必要度を分析したところ、交番の設置の必要性が最も高く(平均4.67)認識されていることがわかった。
 以上の分析結果から、−という傾向にあると言える。
以上の分析結果から、同性または異性の日本人と親密な人間関係を形成したり交流したりするさいに必要と思われる文化的行動様式を獲得している在日留学生は、日本人との友人との関係に、より満足感を得ている傾向にあると言える。
 以上の結果は−(ということ)を示している。
この結果はまた、外国人への態度や地域発展への態度について異なる傾向を示す住民が、同じQ団地内に存在していることを示している。
 −の結果は−を示唆している。
この結果は、敬語やあいさつといった「儀礼」に関する日本文化要素や、集団で行動するさいに必要となる「集団」に関する日本文化要素を獲得することに関しては、日本人の友人との良好な対人関係形成には、ほとんど影響がない可能性を示唆している。
 −をおこなったところ、−という特徴があることがわかった。


 −の結果から、−は−であると考えられる。


 以上から−は−という傾向があるといえる。


 −から−は−であることが推測できる。


 −の結果より、−は−であることを示している。


 −の結果から考察すると、−と結論付けることができる。


 −から考えると、−が−であることは明らかである。




(2) わかりにくい文をチェックする

 文法的には正確でも、読み手にとってわかりにくい文章であることがあります。ここでは、わかりにくい文章とわかりやすい文章の違いを整理して、解説をしていきます。

1.長い文章。

2.受身文が多用されている文章。

3.主語が不明の文章。

4.書き出しと書き終わりが一致しない文章。

5.時制が一致しない文章。

6.他人の意見と自分の意見の区切り目がわからない文章。



(3) 全体の構成をチェックする

 語句や文章のチェックをして、読みやすい文章にしたら、最後に全体の構成をチェックしましょう。

1.□ 章立ての構成、章の構成、パラグラフの構成が、一貫した流れになっているか。
2.□ 論の飛躍がある個所はないか。
3.□ 例証は十分か。
4.□ 誰の意見であるかが明確か。
5.□ 引用個所で出典が不明確なところはないか。
6.□ 結論は明確に提示してあるか。
7.□ 自分のオリジナルな意見、新しい発見が明示されているか。



 



Copyright (c) 2002-2003 YAMAUCHI Keisuke All rights reserved.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送